①声楽との出会い

≪解説≫
漫画『声楽レッスン』のスタートです!

高校生の美音さんは初めて生の歌声を聴いてびっくりしました。
「マイクを使わずにどうしてあんなに声が響くの?」

そう、マイクが発明されたのは18世紀の終わり、今のようなホールで歌うときに使うマイクはもっとあとです。

西洋で、今のオペラのような劇場で歌われるものや、教会や宮廷で歌われるオラトリオやカンタータなどは 16世紀半ばから発展しはじめたそうです。

マイクはもちろんのこと、電気も発明されていない時代、観客に聞えるように歌わなければならない。
そのために「声を響かせる技術」が必要だったのです。

その時代から何百年もかかって発声法は研究されてきました。
そう、声楽家は「声が大きい人」なのではなく、「声を響かせる技術を勉強した人」なんですよ。
大きいだけでは2時間以上続くオペラの主役なんて歌ったら声帯を傷めてしまいます。

たとえばヒバリやウグイスはあんなに小さな鳥なのに、遠くで鳴いていても良く聞こえますよね。
それも何時間もさえずっても喉を傷める鳥なんて聞いたことありません。
チワワなどの小さな犬もキャンキャン吠える声はとても響きます。
声は「大小」ではなく「響くか響かないか」なんですよ。
人間の骨格は響くように出来ています。
ただ、その使い方を知らないと「小さな声」に聞えてしまうのです。

そして、その中でも毎日歌っても、長い時間歌っても喉を傷めない発声法。
後の回で詳しく出てきますが、イタリア発祥のベルカント唱法は最も喉に負担をかけないといわれ、 この唱法をマスターできれば80歳まで現役で歌えると言われています。

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