感性を高める
- 2020.03.16
- 音楽で幸せに生きていくために必要な音楽以外のこと
感性とは
よく「あの人は感性が高い」とか「センスがいい」とか言われます。
「あなたにはセンスが足りない」なんて言われたら、がっくりしてしまいます。
なぜならその言葉はあまりにとりとめがなく、何をしたらセンスが増すのか、それは生まれつきのもので自分には無理なのではないかと思われてしまうからです。
たしかに、クリエイティブな人にとって「感性」は非常に大切で、音楽家にとってはそれを「音楽性」と言い替えることもできます。
もちろん、音楽を極めるには技術が必須です。
超絶技巧のテクニックで演奏できるのは素晴らしいことですが、技術は音楽の目的ではありません。
技術とはあくまでも表現したいイメージを実現するために下支えとしてあるものだからです。
では「感性」や「センス」とは具体的に何を指すのでしょう。
「感性が鋭い」とは、わかりやすくいえば、ものごとの細かい点から美しいものや感動するものを探し出すことだと思います。
それが普通の人が気づかないような点であればあるほどプロフェッショナルと言われるのです。
たとえば美味しいラーメン屋さん。
一般人は自分で作るインスタントラーメンと美味しいラーメン屋さんの味の違いは判ります。
でもどこがどう違うのかははっきりわかりません。
「いやホント、まじうまい!」みたいな感嘆詞を送るくらいです。
もし、日本で一番おいしいラーメン屋さんを極めたいと思っている人だったらどうでしょう。
まず味わって、何が違うのか、うまみや塩味か、舌触りか、温度はどうか、麺はどうか分析します。
ではうまみのもと、だしは何から取っているのか。
昆布ならどこの昆布か、日高か羅臼か、しょうゆはどこの醤油か、たまりか、大豆はどこの大豆か。
そんなことまで追求していきます。
美味しくて有名なお店は、通常何種類もの昆布や鰹節などを使っていて、そこに到達するまで何年もかけています。
その結果、普通の人がただ「おいしい」としか言えない、「秘伝の味」のようなものが出来上がるのです。
お客さんは、そこに驚きと言う感動を求めています。
ただおいしいだけではなく、「びっくりするほどおいしい!」と思ってはじめて、また行きたい、人にも言いたいとなり、有名店になっていきます。
つまり、人が気づかない、または見過ごしてしまうような小さなことの発見の積み重ねが、「感性が鋭い」ということなのです。
この例で言うと「感性」とは
- まず美味しさを感じることができ、(感動)
- 何故美味しいか考え、(研究)
- 自分のイメージを実現できるまで研究する(努力)
ということになります。
これを音楽に言い換えてみましょう。
先ほどのラーメン屋のたとえで、「ラーメン」は誰でも知っているけどそこに驚きを感じさせることが感性だとすると、誰でも知っている曲に新しい感動を感じてもらえるように演奏することが音楽でのセンスということになります。
上の箇条書きにあてはめると、
- 美しい音楽を感じることができる。
これは誰が聴いても美しいと感じる音楽だけではありません。練習曲のような人が見過ごすような曲や、現代音楽のような一見聴いただけでは難解な曲の中にも、砂の中から砂金を見つけるように美しさをすくい取ることができたら、その人は「音楽性」が高いと言えると思います。
このための訓練は、沢山の曲と演奏に触れること、また反対に、新しい曲を譜読みする場合には完成するまではYoutubeなどで曲を聴かないこと、の両面が大切です。
- その音楽のどこが感動的なのかを考える。
自分がどこに感動するのかを考える。演奏者の音質なのか表現なのか、曲の音型なのか、考えることで自分の理想の表現方法が出来ていきます。この理想がはっきりしないとどんなに練習してもいい効果が出ません。
ただし、自分の好きな声と自分の出せる声は違います。声質ではなく、表現方法やニュアンスの理想形を常にイメージすることです。
- そして努力し続ける。
努力に勝る才能はありません。継続は力なりと言いますが、継続するために重要な心構えは「がっかりしないこと」。
がっかりするからやる気がなくなる。一度へこんだ気持ちを立て直すのにはエネルギーがいるのです。
がっかりしないで一歩一歩あせらず人と競わず努力していけば必ず道は開けます。
いちいちがっかりするから見失うのです。
あ、なんか話がそれました。
感性の話だったのに音楽への向き合い方まで話を広げてしまいました。
失礼。
でも感性を磨く大切さは少し伝わったでしょうか。
沢山の音楽を聴いて、人が見過ごしているフレーズを探していく習慣を付けましょう。
感性を高めるには
感性を高めるには実際どうすればいいか。
感性は音楽だけできまるものではありません。
その人となりが出てくるのです。
ですから、音楽だけでなく、世の中にある人が気づかないくらい小さなものから誰もが感動するポピュラーなものまで、あらゆることに関心を持つべきです。
小さなことから美しいものを探し感性を育て、ポピュラーなものを見てどうしてこれが多くの人を惹きつけるかを考えるようにします。
たとえば駅への道を歩いているとします。
道端に草が生えているとします。
感性の豊かな人なら、その緑が芽吹いたばかりの柔らかい若草色だということに感動するでしょう。
若草色と言っても隣の草とは少しずつ色が違うことにも気が付くでしょう。
光の当たる場所ではまた色が違うことにも気づきます。
家に帰ってその若草色の絵を描いてみるかも知れません。
普通の人が見向きもしないものから美を感じて心動かすこと、それこそが感性なのです。
自分にセンスが足りないと思う人は、自分らしさを追求する前に、まず世の中で受け入れられているものに多く触れて真似をしてみるのも近道です。
ファッションセンスに自信がなければ素敵だと思う女優さんの真似をしてみる。
失敗も多いのです。
買ってみた服の半分は似合わない、なんてことも最初は起こります。
身長も体型も違えばあたりまえ。
でも諦めずに研究し続ければ必ず人に「センスいい」「おしゃれ」と言われるときがやって来ます。
一つ攻略できれば、この獲得したセンスは他のジャンルのセンスもアップさせます。
こだわり方は共通だからです。
例外はあるのですが、有名な歌手が画家でもあったり、小説を書いていたりと言うのはよくあることです。
感性はすべてに通じているいい例です。
他にも、
本を読む。
映画を観る。
絵画を鑑賞する。
料理や食にこだわる。
などなど・・・。
感性を磨きながら、おおいに笑い、おおいに泣き、感情豊かな人になることを心がけましょう。
嬉しいことだけではなく、辛いこと、悲しいこと、悔しいことすらよき表現者となるのに重要なエッセンスです。
小説でも詩でも踊りでも、あなたが表現するものにはすべてあなたの人生観そのものが現れるのですから。